大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)437号 判決

被告人 金鐘烈

〔抄 録〕

論旨第二点について。

所論指摘のホーマー・エッチ・ホールの検察事務官枝川一夫に対する供述調書は同事務官が検察事務官有元芳之祐の通訳を介して為した質問応答の結果を日本語で記載して作成したものなること同調書の記載自体によつて明らかであり通訳たる右有元事務官は検察庁法第二十七条による職務の遂行として右通訳にあたつたものであつて、斯る場合刑事訴訟法の規定に則り通訳者をして一々宣誓の手続を履践せしめないからといつて、所論の如く右供述調書を違法無効のものと謂うことは勿論出来ず。又フーマン・デイー・ウエストの陳述書と雖も原文に訳文を添付して其の内容を明らかにせられあり、検察官は原審第一回公判期日に於て前示ホーマー・エッチ・ホールの供述調書と共に之が証拠調を申請し被告人弁護人は右何れの書類についても之を証拠とすることに同意したものなること記録上明らかであつて、然る以上裁判所が之を相当と認めるに限り右各書類の証拠能力を認め得ない理由はない。

而して「裁判所では日本語を用いる」旨の裁判所法第七十四条の規定は裁判所に於ける訴訟行為の用語を日本語に限定する趣旨と解すべきところ、原審は右各書証を相当と認めて取調べる旨の決定を宣し其の証拠調を為すに際つては右裁判所法の規定に準拠し何れも右和文に基いて之を朗読施行したことが記録上窺われるので、原審が被告人の自白に右各供述記載及び押収の軍票を綜合して原判示事実を認定しても固より所論の如き違法あるものではなく論旨は理由がない。

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